東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)86号 判決 1969年2月25日
原告
三並載忠
代理人
鈴江武彦
ほか四名
被告
松下電器産業株式会社
代理人
高橋武
ほか一名
同弁理士
吉崎悦治
ほか一名
主文
特許庁が、昭和四十三年四月二十日、同庁昭和三八年審判第四、八六三号事件についてした審決は、取り消す。
訴訟費用は、被告の負担とする。
事実
<前略>
第二 請求の原因
原告訴訟代理人は、請求の原因として、次のとおり述べた。
一 特許庁における手続の経緯
三並義忠は、昭和三十三年十月二十四日登録出願、昭和三十六年四月七日出願公告、昭和三十七年三月二十八日登録の、登録実用新案第五六七、五二六号「電気コンロ」の権利者であつたが、被告が昭和三十八年十一月五日特許庁に対し、右登録実用新案の登録無効審判の請求をしたところ(昭和三八年審判第四、八三六号事件)、昭和四十三年四月二十日、右登録実用新案の登録は無効とする旨の審決があり、その審決の謄本は、同年六月七日、三並義忠宛に送達手続がとられた。
二 本件審決を取り消すべき事由
被申請人三並義忠は、本件審決があつた昭和四十三年四月二十日より前の昭和四十一年九月一日死亡した。したがつて、本件審判手続は同人の死亡により前同日をもつて中断したものであるところ、その後、いまだ受継手続がとられていなかつたにかかわらず、本件審決は、これを看過してされたものであるから、違法であり、取り消されるべきものである。
原告は、三並義忠の相続人であり、その資格において、本件審決の取消を求める。
第三 被告の答弁
被告訴訟代理人は、答弁として、原告が本訴請求の原因として主張する事実は、すべて認める、と述べた。
理由
原告が本訴請求の原因として主張する事実は、すべて当事者間に争いがなく、これらの事実によれば、本件審決は、審判手続の中断中にされた違法のものであることが明らかである。よつて、三並義忠の相続人としてその取消を求める原告の請求を認容する。<後略>(三宅正雄 石沢健 滝川叡一)